「栄冠は君に輝く」(加賀大介作詞 古関裕而作曲)が当初、加賀道子作詞として発表されて、20年後に、実は本当の作詞者は夫の加賀大介であった、とカミングアウトした、ということは知っていましたが、その間の事情については知りませんでした。
この本は、野球少年だった加賀さんが、足の怪我で野球を諦め、短歌ー文学の世界に入り、文学賞を取ることを目標に創作活動に打ち込み、その傍らで書いた「栄冠は君に輝く」の詩。その詩を加賀道子名義で発表した、その隠された感動の秘話について書かれています。
加賀大介さんは1973年に58歳の若さでお亡くなりになりました。
奥様の道子さんには、私(九代目)は2008年の第90回記念大会の開会式だったと思いますが、そこで一度お会いしたことがあります。物静かな品の良い素敵な方でした。
今年から加賀さんの故郷の能美根上(のみねあがり)駅では、列車が駅に近づくと「栄冠は君に輝く」のメロディーが流れます。
このように、1948年の発表から67年、皆さんに愛され歌われ続けている「栄冠は君に輝く」は曲もいいですが、詩の素晴らしさがこの曲に永遠の命を吹き込んでいるように思います。
もっとも、5252編の応募の中から選ばれた詩ですから、素晴らしいのは当然ですね。
この本を読まれると、きっとこの歌を歌いたくなりますよ。(九)
「ああ栄冠は君に輝く 知られざる『全国高校野球大会歌』誕生秘話〜加賀大介物語〜」手束仁著
双葉社刊 2015年7月22日発売