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『エール』 VS 本当の話―15 仙台と大阪の歌

「ミス仙台」と「大阪タイガースの歌」

 

写真は二葉あき子。

 

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今日(6月22日)の「エール」の冒頭で、仙台の歌を作曲して、仙台美人たちと記念撮影するシーン、大阪タイガースの球団の人たちと「大阪タイガースの歌」を歌うシーンが出てきました。

「大阪タイガースの歌」は言うまでもなく、通称「六甲おろし」、今の「阪神タイガースの歌」です。

仙台の歌、と劇中で言っていたのは「ミス仙台」という歌のことです。

共に昭和11年発表の作品で、劇中でもコロムブスの専属になってから5年という設定、どういうわけか娘も4歳になっていて、色々と辻褄が合うような合わないような、でも実際の年代とは一致するようになりました。

「ミス仙台」は仙台市のご当地ソングとして作られました。通称「仙台小唄」とも呼ばれているようです。作詞は西條八十。歌ったのは当時21歳の二葉あき子です。

歌いだしの「森の都の花乙女」というフレーズから仙台を「杜の都」と称するのが広まったと言われています。

この歌は好評でしたので、全国区にしようと、歌詞だけを変えて翌年「乙女十九」というタイトルでも発売されました。でも残念ながら全国的にはあまり評判とはならなかったようです。「ミス仙台」の方は、その後も歌い継がれ、二代目コロムビア・ローズや島倉千代子によっても再録音されて、仙台の七夕祭りの盆踊り歌として、今も歌われているそうです。

 

一方「大阪タイガースの歌」は最初のプロ野球球団歌として作られた曲で、戦後球団名の改称に伴い「阪神タイガースの歌」となりましたが、その際「おう、おう、おう、おう、大阪タイガース」のフレーズをどうするかが問題となりました。「おう、おう、おう、おう」というのは大阪タイガースならでは歌詞なので、ここを「はー、はー、はー、はー、阪神タイガース」と変えるか?という問題です。

でも「はー、はー、はー、はー」より「おう」の方が掛け声らしくていいということで、そのままになりました。

この歌は関西のタイガース・ファンの間では、ずっと歌い継がれていましたが、関西以外では殆ど知られていませんでした。

私事になりますが、私の姉が結婚して昭和36年から宝塚に住んでいましたが、「よくタイガースファンが梅田の駅で、大声でタイガースの歌を歌っているけど、あれお父様の曲でしょ」とよく父に言っていました。父は「そうだけど、どんな歌だったかな?」というほど、関東では誰も歌っておらず、知らない歌でした。

それが全国区になったのはタイガースが、あの伝説となったバース、掛布、岡田の3連発本塁打に象徴される打線の活躍で全国優勝した1985年のことです。

それ以来「阪神タイガースの歌」、通称「六甲おろし」は最も有名なプロ野球の応援歌となりました。

ですので1980年に父が編んだ「作曲生活50周年記念 古関裕而大全集」(LPレコード7枚組)にはこの歌は収録されていません。(九)

2020/06/22   KITASAN