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極上の歌声に酔う。MIQを聴く。

2014-7-19MIQ.jpg極上の歌声に酔う。MIQを聴く。

 彼女と初めて知り合ったのは、もう30年近く前のこと。彼女の声を聴いた途端に僕は彼女のファンになった。
 それは僕が初めてBarbra StreisandのFirst Albumの最初の曲「Cry Me A River」の歌い出し、"Now You Say , You're Lonely"を聴いてノックアウトされたような衝撃を受けたのに匹敵するような体験だった。
 以来30年近く、僕は彼女のファンである。
 彼女はメジャーなヴォーカリストではない。しかし近年、アニソン(アニメ・ソングス)の世界では押しも押されぬ大スターであるらしい。(僕はアニソンは詳しくないので良くはしらない)
 彼女の名前はMIQ(ミク)。
 僕の、大、大、大好きな歌手だ。(蛇足だがもう一人、大、大、大好きな歌手がいる。勿論我が喜多三のSUZUだ)
 MIQは、何年か前まではMIO(ミオ)という芸名だったが、何故か知らぬが、O(オー)にチョンを付けてQにした。
 彼女はメジャーではないが、多分誰もが彼女の歌声は聴いているはずだ。というのは恐らく20年くらいにわたって、「まあるい緑の山の手線、真ん中通るは中央線」でおなじみのヨドバシカメラのコマソンを歌っていたから。数年前に違う人の歌に代わってしまったが・・・。
 あのコマソン、考えてみれば当たり前だが、「まあるい緑の山手線」の歌詞は東京でしか通じない。だから東京の人しか知らないだろうと思ったら、大間違い。地方ごとにその街に適した歌詞があるのだ。更に英語ヴァージョンもある。
 プライベートな席でリクエストすると、仙台バージョンとか英語バージョンをよく歌ってくれたものだ。だからヨドバシカメラのお店がある地方なら、彼女のコマソンが流れていたはずである。
 彼女は最初はソウルを歌っていたというが、僕の記憶では、最初から彼女のジャズを聴いていたという印象だ。
 彼女曰く、歳をとったらジャズを歌おうと思っていて、ようやくこうやってジャズを歌うようになった、とのことで、今日は銀座CYGNUSでのライブ。

 世にジャズ歌手とかシャンソン歌手という人たちが沢山いるけど、お目当ての歌手を聴きに行く場合を除いて、ジャズを聴きに行ってうまいジャズ歌手に、シャンソンを聴きに行ってうまいシャンソン歌手に出会えることは、まずもって皆無だ。
 皆、変に上手そうに崩しまくったり、外人っぽい発音を一生懸命オーバーに真似したり、声が出なくても、囁くように、ハスキーに歌えば恰好がつくからとばかりに、かぼそく歌ったり、聴くに耐えない自称ジャズ歌手、シャンソン歌手が本当に多い。
 一流のジャズ・ミュージシャン達が、なんであんな歌手に歌わせているのだろうと、首を傾げる場合が殆どだ。ジャズ歌手とかなんとか歌手と言う前に、歌手なら歌手としての力量があるべきなのに、そうでない歌手が多すぎる。
 そんなのばかり聴く機会が多い中、今晩は久々に本物を聴いた。

 素晴らしい声量、深みと艶のある声質。曲にぴったり馴染んだ自然なアドリブやフェイク。
 アップテンポの曲は持ち前のパンチを効かせ、バラードやルバートの部分ではしっとりとした情感を醸し出し、自在に声を操るそのヴォイス・コントロールは、日本のBarbra Streisandと言ってもいいと僕は思っている。
 MIQにはもっともっとライブをやってほしい。
 9月にはアメリカのアトランタでのアニソン大会に弟子十数名を連れて行くらしいが、僕はもっともっとジャズを歌ってほしいなあ。
 ヴォーカルが好きな音楽好きなら、彼女の歌は、是非聴くべきだ。
 改めて今晩、そう思った。
 極上の歌声に酔いしれた夜だった。(九)

2014/07/20   KITASAN